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本間ひろむ オフィシャルブログ

最近見たヨーロッパ映画 01

 “ハンナ・アーレント”(マルガレーテ・フォン・トロッタ監督)をHuluで。ハンナ・アーレントが主張するように「悪の凡庸さ」が元SS隊員アイヒマンを支配していたとしても、書いていいことと悪いことはある。「友人しか愛していない」からといって「同胞を傷つけていいはずもない」のだ。分別の問題だ。そもそも、アイヒマンは戦時中ずっと思考停止していたわけではない。しらを切り通しただけなのに。

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ヒトラー 〜最期の12日間〜”(オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督)をAmazonビデオで。総統秘書ユンゲの目を通して描かれるヒトラー最期の12日間。ヒトラーはやたら怒鳴り散らしてはいたが、終戦間際は軍の空気も弛緩していた。 そして、ヒトラーの秘書だったユンゲは終戦後、「あれは愚行だった」と告白。彼女はしらを切り通せなかったのだ。

 

迷子の警察音楽隊”(エラン・コリリン監督)をHuluで。ユダヤ人とエジプト人とは因縁浅からぬ間柄。そんなエジプトの音楽隊がイスラエルの田舎町に迷い込む。同じ田舎の風景でもアメリカはそれなりに電飾けばけばしいバーがあってアメリカ人がつまんなそうにビリヤードとかしてるんだけど、イスラエルの田舎はなんだか無味乾燥。学校の体育館にPA持ち込んで音楽流して、若者がローラースケートなんかしちゃってる。そんな田舎町で一晩過ごすエジプトの音楽隊の話。東京国際映画祭で(サクラ)グランプリを取っちゃったおかげで、マスコミ試写(昔、京橋にあった映画美学校第2試写室)がいつも満員で何度も追い出された。やっと見ることができましたとさ。あ、これはヨーロッパ映画ではありません。

 

鑑定士と顔のない依頼人”(ジュゼッペ・トルナトーレ監督)をAmazonビデオで。いつも手袋を外さないカリスマ美術品鑑定士。なにかと尊大な態度が鼻に付くおじさんなんだけど結局のところ恋愛経験もない「絵画おたく」なだけじゃん、というふうにその化けの皮が剥がされていく。そんなこんなのラストシーンが快感なのか、シンパシーを覚えるかは見る人によって変わってくると思う。僕には快感でした。

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リスボンに誘われて”(ビレ・アウグスト監督)をAmazonビデオで。偶然助けた若い女性が持っていた一冊の本に導かれ、授業をほったらかしてリスボンへ行ってしまう高校教師。そこで、レジスタンスの昔話を追っかけたり、新しい恋に出会ったりと、急に人生がパーンと開けちゃう。そこが狙い目っちゃ狙い目なんだけど、リスボンの風景がまた美しいことよ。あと、メラニー・ロランはフランス語喋ってる方がいいね。

 

ボヴァリー夫人とパン屋”(アンヌ・フォンテーヌ監督)をAmazonビデオで。出版社勤めを辞めて家業のパン屋を継いだ男(主人公)を筆頭に、登場する男たちがどいつもこいつも情けない。それで最後まで情けないんだけど、思わず笑えてしまうところがフランスのエスプリってやつなのか。このパン屋役のファブリス・ルキーニというおじさんは“PARIS”という映画にも大学教授役で出ていて、女子大生のメラニー・ロランに恋をして、つきまとって、付き合うんだな。この映画もよかった。

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