杉並公会堂大ホールにて、福間洸太朗プロデュース第26回レア・ピアノミュージック “河村尚子 ピアノリサイタル〜シューベルトと八代秋雄の世界〜” 。
冒頭のトークの後、2人による連弾が2曲。シューベルト “フランスの歌による8つの変奏曲” と八代秋雄 “ピアノ連弾のための『古典組曲』” 。ジュニアの頃からコンクール等で顔を合わせていたという2人の連れ弾きは、重曹的で、迫力があって、おそろしいほど息が合っていて、弦楽器による室内楽にも通じる濃密な世界があった。ベヒシュタインD280もよく唸ったり、囁いたり、バランスがよかった。杉並公会堂と相性がいいのだと思う。
ここから河村尚子のソロ・ピアノ。まるでフランスの現代音楽のような八代秋雄 “ピアノ・ソナタ” 。メシアンかよって感じ(この作曲家はパリに留学をしていたのだ)。
後半はシューベルト “ピアノ・ソナタ第17番” 。シューベルトには珍しい躁状態全開の賑やかなソナタなんだけど、ここでも河村尚子のピアノは素晴らしかった。自分の子供のように愛しんで弾いていた。
アンコールは2曲。河村尚子はシューベルト “即興曲第4番 へ長調” をまるでマゼッパのように豪快に弾いていた。八代秋雄 “夢の船” は、一転して素朴なわらべうたのような曲。これは連れ弾き。
あ、この2人は映画『蜜蜂と遠雷』でそれぞれ松岡茉優と松坂桃李のピアノを担当していた。その2人が連弾しているシーンを想像すると、ちょっと面白い。
世界的な2人のピアニストを堪能した贅沢な夜でした。