2021年秋からAmazon Music unlimited で Amazon Music HD を追加料金なしで利用できるようになった。ほぼCDと同じ音質で音楽が(追加料金なしで)聴けるようになったのはありがたい。
僕はかつて、iPod(iPadではないですよ)否定派だった。なぜなら、たくさんの曲をiPodに詰め込んで持ち歩くという「利便性」のためにmp3等の「音源を圧縮しまくるフォーマット」をAppleは採用していたからだ。これがどうしても気に入らなかった。mp3で再生されるアルゲリッチの“戦争ソナタ”は、圧縮版の“戦争ソナタ”であってもはやオリジナル音源ではない。アルゲリッチにも、プロコフィエフにも失礼な話だ。批評家として、アーティストがリリースした音源と同じクオリティのタイトルでないものはそもそも語ることはできない。
それゆえ、僕はWALKMAN派だった。Advanced Lossless という「音楽情報を失うことなく圧縮する」フォーマットをSONYは採用していたからだ。ただ、高音質は担保されているが、一曲一曲の容量がでかいため数曲しかWALKMANに入らないのが玉に瑕だった。
2004年にApple Losslessが登場してからはiPodでも「音質の劣化のほぼない音楽」(圧縮はある)を聴けるようになり、そのうちiPodはiPhoneのアプリのひとつとなり、ほどなくApple Musicに統合された。音楽ソフトもCDからネット配信になり、サブスクのストリーミングが主流になった。そして、Amazon Music HD などCDとほぼ同じ音質でのストリーミングが登場した。テクノロジーがスティーブ・ジョブズが持ち込んだ“圧縮”という呪縛から我々を解放してくれたのだ。
気づけば、プロバイダ各社もIPv6でのインターネット接続サービスをスタートさせている。IPv6(IPoEを採用)とは、それまでのIPv5(PPPoEを採用)というインターネットの接続方式を進化させたもの。IPv6で接続することによってトラフィックが断然よくなった(上がりも下りも100Mbps以上で安定!)。こちらもプロバイダによっては追加料金なし。フレッツ光+IPv6+Amazon Music HDが揃い、ネットを利用したAV環境がひととおり整ったというわけだ。
これで誰かがアビー・ロード・スタジオで録音したばかりの音源をそのまま東京で聴けるようになったといってもいい。ソフト(CDやDVD)が流通しそれを買いに行くというプロセスをすっ飛ばして、スタジオから直接部屋に届くというイメージだ(ハイレゾならなおよし)。レコードから録音したカセットテープを大事に聴いていた世代が何をいってやがる、といわれそうだが、ま、隔世の感ってやつですね。
現状、仕事部屋ではFire7(タブレット)で音楽を聴き、Fire TV STICK+RICOHのプロジェクターで映画を観る(スピーカーはCreative Media)。リビングではEcho Dot(スマートスピーカー)で音楽を聴き、Fire TV STICK+REGZAで映画を観る(スピーカーはCreative Media)。あとはスピーカーをBOSEかJBLにしたい。最後のピースはそこだ。