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本間ひろむ オフィシャルブログ

adidasのウィンドブレーカー

中学の頃(1976〜77年あたりか)、adidasのウィンドブレーカーが流行った。サッカー部のやつからそうでないやつまで、みんなこれを着ていた。

やや遅れたタイミングで近所のサッカーショップ(のちのB&Dだ)へこいつを買いにいくと、ネイビーのMサイズは品切れ。緑色のMサイズならあるという。試着してみた。なんか変だ。pumaのウィンドブレーカーならネイビーのMサイズがあるという。試着してみた。ま、いいか。そう思ってpumaの方を買った。

ふと思い出したのが、大学の後輩の話。その女の子は授業だかレッスンだかで必要なので、バレエシューズを買いに行った。ピンクのバレエシューズがいい。でも、彼女のサイズは品切れだ。白いバレエシューズなら彼女のサイズがある。でも彼女はどうしてもピンクのバレエシューズがほしかったので、ワンサイズ上のピンクのそれを買った。

彼女の名前を覚えていたので検索してみた。あった。大阪でナレーターになっていた。タレント事務所のサイトには顔写真も出ていた。うん、面影は残ってるぞ。大阪メトロの案内の声も担当しているらしい。あれ、彼女は放送学科だったっけ!? だとしたらアナウンサー志望だったのかな。そうだ、彼女の誕生日に教室のピアノを弾いてシンディ・ローパーの“TIME AFTER TIME”を歌ってあげたことがあったな。

ともかくだ、ほしいものが品切れだったりすることもしばしばあるし、若い頃に望んだ未来がそのまま手に入ることもなかなかない。そこで何をチョイスするのか、人それぞれだ。ピンクのバレエシューズにこだわった彼女はナレーションのプロになった。演奏学科ピアノコースの後輩はゲーム音楽の作曲家になった(これは『日本のピアニスト』に書いた)。

pumaのウィンドブレーカーは肩から手首まで白いラインが走っていて、それはそれで気に入って着ていた。ほかにこれを着ている友達もいなかったしね。

思えば、ここからあまのじゃくな人生が始まった。メインストリームの中心にあるものは気に入らない(巨人が嫌いでヤクルトや日本ハムのファンになった東京人のように)。どちらかというと二番手にシンパシーを感じる。メルセデスよりBMW(どっちも乗ってないけどね)、ROLEXよりOMEGA(どっちも持っていたけどね)、YAMAHAよりROLANDシンセサイザーDX7ではなくJUNO-106を買った)、モンブランよりペリカン(そういいつつPARKERだったりWATERMANの万年筆を愛用している)。

もし、adidasのウィンドブレーカーの在庫があってそのままみんなと同じものを着ていたら、別のつまんない人生が待っていたような気がしないでもない。

 

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