1978年の夏、高校1年の夏休み、サンディエゴ郊外に1か月ホームステイをした。
カーラジオでよく流れていたのが Joe Walsh の“ Life's Been Good ” だ。あとは Foreiner の“ Hot Blooded ”とか、Commodores の“ Three Times A Lady ”とか↓
アメリカでは車に乗ってる時、カーラジオをかけっぱなしにする。ずっと音楽がかかってる。むちゃむちゃ気持ちいい。カリフォルニアの夏はいい。雨降んないし、汗もかかないし。
そんな短期留学が終わり、8月31日に帰国した。日本はびっくりするほど蒸し暑かった。ここはタイのバンコクか。
家に帰って、ごはんを食べながらTVを見た。ザ・ベストテンだ。画面の中で、短パンを履いた手足の短い男が鼻歌みたいなメロディをがなりたててる。見るからに暑苦しい。わ、この国の音楽はなんて貧しいんだろう。
けれど、彼らはなぜか人気者になり、今でもラジオやなんかでよくかかる。かかるたびにアレクサにラジオを止めてもらう。苦手なもんは苦手だ。
その短パン男に象徴されるように、この国の夏は猛暑の上にあほみたいに蒸し暑い。世界の大金持ちは、ビバリーヒルズとか、サンタバーバラとか、サンフランシスコとか、シアトルとか、夏でもカラッと涼しい街に住んでるのに、だ。
ホームステイの時に会ったキャッシー・シュミットという若い女性に、「ヒロムは将来何になりたいの?」と訊かれ、「Paperback Writer だよ」と答えたことがあった。そう、The Beatles の” Paperback Writer ” 。「三文文士」という意味で言ったんだけど、ペーパーバックって新書のサイズなんだよな。ここんとこ、ずっと新書ばかり書いているので(今8冊目の新書を書いている)、このあほみたいに暑い東京でなんとかペーパーバック・ライターになったよ、ってキャッシーに言いたい。
と、このエピソード(キャッシーとのやりとり)は拙著『アルゲリッチとポリーニ』(2020年刊)の「あとがき」に書いたのものだ。
その『アルゲリッチとポリーニ』の本文には、「ちなみにうちの愚息(高校生)も夜中まで荒野行動をやる、朝起きられず学校を休む、visaカードを好きなだけ使う(もちろんピアノは弾けない)。国や人種は違えども親は親で心労は多いものなのだ」と愚息について書いた部分もある。
そんな彼も大学に入り、無事に就活を終えた。内定をいただいたは大手金融機関。
Joe Walsh が歌っていたように、Life's Been Good(おおむね)人生は上々だ。おかげさまで。