火花/又吉直樹(文藝春秋)。主人公が井の頭公園で師匠の元カノを見かけるシーンだけでも、この本を読む価値がある。賛否両論あるラストシーンも、主人公のさりげない優しさが浮き彫りになっていて好感が持てる。
スクラップ・アンド・ビルド/羽田圭介(文藝春秋)。主人公の青年、彼の祖父、彼の母親、誰ひとり魅力的な人物が登場しない。こういう小説はどうかな。こんなふうなテーマをこうゆう小説にしてみました、選考委員のみなさんどうですかって感じ。この本が世の中に出て、読んだ人がどう受け止めるだろう、という視点(あるいは想像力)が決定的に欠けてる。
あの路地をうろついているときに夢見たことは、ほぼ叶えている/森永博志(パルコ)。若者が読んでそこそこエキサイティングな人生を夢想するにはちょうどいい本。
グラスホッパー/伊坂幸太郎(角川文庫)。映画化に合わせて久しぶりに伊坂作品を読んだんだけど、やっぱりこの人、面白いな。
虹をつかむ男/ジェイムズ・サーバー・鳴海四郎訳(ハヤカワepi文庫)。ニューヨーカーになった気分で寝酒を片手に読むべし。
弱いつながり 検索ワードを探す旅/東浩紀(幻冬舎)。なるほど、がけっこうある本。哲学書ではないので読みやすいと思います。