LFJ TOKYO、東京国際フォーラム、ホールA。
指揮/齋藤友香理、ピアノ/亀井聖矢、神奈川フィルハーモニー管弦楽団。
チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番。
亀井聖矢は小さい悪魔だった。冒頭の数小節で、チャイコフスキーの有名なピアノ・コンチェルトと、オーケストラと、5000人の観客を支配した。ちょっとテンポをずらせてはオケを慌てさせ、チャーミングな指揮者にいたずらっぽい笑みを投げかける。自ら演奏しながら(音楽の一部となりながら)、チャイコフスキーの名曲を全身で楽しんでいた。まるで、夢中で走り回るいたずら坊主のように。
ソロで披露するピアノは聞いたことがないくらいにしっかりと粒が揃っていて、なおかつ美しい。やばいくらいに美しい。そして、そのピアノの音であのばかでかいホールAを濃厚なロシア音楽のロマンティシズムで満たした。おいおい、今ドイツに留学してるんじゃなかったっけ。
いやほんとに、ホロヴィッツとか、アルゲリッチとか、ポゴレリチとか、きっと若い頃こんな感じだったんだろうな、と思わせるやばいピアニストです。
アンコールのラ・カンパネラがまじ泣かせる。フジコさんも、足を止めて聞き入っていたに違いない。