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本間ひろむ オフィシャルブログ

ファーピク

大阪芸術大学在学中、文芸学科なのに映像学科のコンペティションに作品を出したことがある。「ファーストピクチャーズショー」(通称・ファーピク)という8ミリ映画のイベントだ。

映像学科は2年生になるとすぐ、3分間の映像作品を撮って発表しなければならない。これがファーピク。映像学科2年生は全員参加だ(もちろん1人1作品)。島本和彦の人気コミック『アオイホノオ』(TVドラマにもなった)の中には、庵野秀明のアニメ作品がファーピクで上映されるシーンも描かれている(2人とも映像学科の学生だったのだ)。

このイベントはオープン参加OKだったので、他学科からチャレンジする学生もたまにいた。僕も出てみようと思い立った。1982年(当時1年生)夏のことだ。

こうゆう映像でファーピクに出たいという話をすると、友人の篠塚雄二(文芸学科)がZC1000(フジカ・シングルエイト)を携えてカメラマンを買って出てくれた。スマホもビデオカメラもない当時の主力は8ミリフィルムカメラで、発色がいいのがスーパー、あれこれ編集に凝れるのがシングル。そんな中、ZC1000はシングルの中でも“名器”と呼ばれる8ミリフィルムカメラだった。助監督は同じく友人の加治屋明(文芸学科)。

映画のタイトルは『あ・い・し・て・る』。僕のオリジナル曲のタイトルで、当時流行り出したMTVを8ミリで撮ったような感じ(最近、FBに弾き語り動画をはりつけたら、みんな覚えててくれた😭)。

映像学科が使う絵コンテ用紙を購買部で買って絵コンテを書いた。ZC1000でできることを3分間にこれでもかとぶち込んだ。オーバーラップ、スローモーション、ズームイン、画面三分割。

映画のヒロインを当時好きだった文芸学科のMちゃんに頼んだ。文芸学科イチの美少女で映画研究会のアイドルだ(のちに映研の先輩と結婚したという噂を聞いた)。ちなみに、文芸学科イチの美人だったYちゃんは文芸サークル(創作考房という名称です)のマドンナで、そのサークルの先輩の短編映画に出演していた。Yちゃんでファーピクを撮っていたら、僕は彼女と結婚してたかもしれない(大学を離れて数年後に付き合ってたので、妄想ではなく、大学当時からスタートしていたら、、、という意味)。

ただ、ZC1000を使い慣れていなかったので何度か失敗し、その度に再撮をMちゃんにお願いした。すると、Mちゃんの彼氏(くだんの映研の先輩)がとうとう怒り出した。1回だけという条件で撮影許したのに何回やっとんねん、と。文句ゆーたるから電話番号教えろ、と。Mちゃんに、教えていいよ、といったら本当に電話がかかってきた。

彼氏はひとつ先輩、映像学科の2年生である。映研やったら撮影大変なの分かるでしょ、といってもだめ。あまりにわーわーいうので、ちょっと逆ギレしてみせたら「おもろいやっちゃな〜」と呟いて急におとなしくなった。で、あっさり彼のOKが出たのでめでたくもう一度だけ撮影をして、大変な編集作業を経たのち完成した。

そして、1983年春のファーピクで僕の短編映画が上映された。グランプリ候補の10数作品には選ばれたが、何も賞はもらえなかった。

家に映写機がないので、このフィルム何十年も見てないな。そうそう、僕が参加した次の年からファーピクは他学科からの参加NGになった。後輩たちよ、ごめん。

それから、篠塚雄二と加治屋明にはちゃんとお礼をいえてなかったので、この場を借りていっておきたい。ノース、札幌さん、2人とも本当にありがとう!

 

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